こんにちは！イラストレーター＆ドラムプレイヤーのアキヤです。

“アメカジ”や“アウトドア”などのカジュアル系ファッションを

ちょっと深く掘り下げるこちらのコラム、本日はこちら

『60/40クロス』のお話をしていこうかと思います。

こちら生地の名前で読み方はロクヨンクロスというのですが

あまり耳馴染みのない方が多くいるのではないかなと。

なのでまずはざっくりとした説明からいってみましょう。

アウトドアファブリックといえばコレ！60/40クロスとは？

その名が表す通り、コットン(綿)60％、ナイロン40％の比率で編まれたのがこの生地。

マウンテンパーカーを始め、コートなどのアウターやキャンプ用のチェアで良く見られます。

元を辿ればこちらは1960年代に登場した雨具用の生地。

雨に濡れればコットンが膨張し生地の隙間を無くすことで雨を防ぎ、

晴れればコットンが通気性を良くしてくれるというハイテク素材として登場しました。

昔はそれで良かったのですが現代では『GORE-TEX』などのより高性能な素材により、

正直なところを言えば雨具としては他に劣ります。

ではなぜ現代に至るまでこの生地が残り続けているかといえば

60/40クロスの旨味が“雨用である事”だけではないという点。

最大の持ち味は“通気性”と“頑丈さ”の共存。

コットン100％よりもごわつかず破れにくく、ナイロン100％よりもしなやかで風を通す。

それこそが60/40クロスがいまだ存在し、世界で愛される所以。

引っ掻きや破れ、摩擦などの外傷を防ぐ強度が高く、

自然素材を使用している為、化学繊維のみの物よりも耐火性能にも優れています。

研究に研究を重ねられた60％(正確には58％)対40％(正確には42％)という絶妙な比率が、

お互いの素材の長所を引き出しつつも邪魔をしない結果を出すのです。

ではこの生地の始まりはいつからなのか。その疑問を紐解くには60/40クロスが

世界へ羽ばたき認知される鍵となった“とあるブランド”のお話をしましょう。

マウンテンパーカーの元祖“シエラデザインズ”

アウトドア好きさんには言わずもがなですが、マウンテンパーカーを世に広めた

第一人者と言われているのがこの“SIERRA DESIGNS(シエラデザインズ )”。

1965年アメリカでとあるアウトドア好きの青年二人が立ち上げたのがこのブランド。

きっかけは二人が暴風雨に見舞われ遭難し、九死に一生を得て生還した事から

「命を託せる物作りをしたい」と思い立った事から始まります。

名前の由来はアメリカに聳え立ち一年中雪を被るシエラネバダ山脈から。

ちなみにシエラネバダ山脈は、かの有名なロッキー山脈よりも標高が高く、

以前コラムに書いた西部開拓時代には最大の障害として人々に立ち塞がりました。

1968年にはブランドアイコンで今回紹介している

60/40クロスを使用したマウンテンパーカーを販売。

するとアメリカの若者に大流行し、その人気ぶりは1975年には日本まで轟き

当時の若い世代にカルチャーショックを与えました。

以降アメリカはもちろん、日本でも長年愛されるブランドとなります。

タウンユースにも使われるマウンテンパーカー

マウンテンパーカーというとどうしてもアウトドア製品としてのイメージが強いですが

近年ではタウンユースをしやすいライトなものが多くなってきています。

シエラデザインズも例に漏れず、裏地がタータンチェック地なものやボアになったものなど

クラシカルながらもデザインがカジュアルにアップデートされたものが多数登場しました。

トラディショナルに着こなすのはもちろん、

様々なコーディネートにマッチすること間違いなしの名品たちです。

また、生地の混合比率が若干違うものも登場しているので

そちらもシーンによって合わせるとグッドです◎

ファストファッションやアウトレットの普及により、安くてある程度の品質のものが

溢れている今日この頃ですが、経年変化も楽しめるハイクオリティで洗練された

MAID IN U.S.Aの名品を1着は持っておきたいところ。

カラーバリエーションも豊富なので自分だけの1着を

探してみるというのもいいかもしれませんね。

今回のまとめ：60/40クロスとは

• コットン60％、ナイロン40％の比率で編み込まれたハイテク生地。
• 通気性がよくしなやか、しかし高耐久の優れモノ！
• 最も有名なのはマウンテンパーカーの元祖“SIERRA DESIGNS”。

以上が今回ご紹介したロクヨンクロスのまとめとなります。

もし街で見かけたら「そういえば・・・」と思い出してくれたら嬉しいです。

次回は“鹿の子(モス・ステッチ)についてお話ししましょう。

では本日はこの辺で。